犬がかかる病気もさまざまありますが、特にチワワに多いいうものがあります。
そして、病気のそれぞれの症状や特徴を理解しておくことで、飼い主さんの気づきや発見が早くなり、病気の早期発見・治療につながります。
チワワの飼い主さんは、愛犬の普段とは違う症状に早く気づいて、動物病院に診てもらって治してあげましょう。
この記事の目次
①角膜炎、角膜潰瘍(かくまくえん、かくまくかいよう)
角膜炎とは、目をぶつけた、ごみが目に入ったなどで、目が痛くて目をこすったりして角膜を傷つけたことのよって角膜に炎症を起こすのは角膜炎です。
角膜潰瘍とは、そこからさらに角膜を深くえぐるように傷つけてしまったことにより、角膜がかけてしまった状態ことを言います。
丸くて大きな目はチワワのチャームポイントでもありますが、それゆえにこうした外傷性の角膜のトラブルが多い犬種とも言えます。
ひどい場合は、失明につながる恐れがあるため注意が必要です。
症状としては、目をしょぼしょぼさせていたり、目をかゆがっている、目が充血していたり、涙の量が多い、また頭や顔に触れられることを極端に嫌がるなどがあります。
このような様子が見られたら、早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。
②乳歯遺残(にゅうしいざん)、欠歯(けっし)
子犬の頃にある乳歯は通常4か月ごろから抜け始めますが、抜けないまま残ってしまうことがあります。これを乳歯遺残と言います。
小型犬によくみられ、ほっておくと歯周病になりやすくなってしまいます。
残った乳歯と永久歯の間に歯垢(しこう)や歯石(しせき)がたまりやすくなってしまうためです。
治療としては、乳歯を抜いてしまうか、ていねいに歯磨きを行っていくかしかありません。
また、犬の永久歯は42本ありますが、本来生えてくる永久歯が生えてこない欠歯という病気もあります。
原因はそのほとんどが遺伝性のものと言われています。
③軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)
上あごのおくにある軟口蓋が、のどの入り口に垂れ下がることによって、のどに空気が通りにくくなる病気です。
原因は先天的なものと肥満によるものがあります。
症状としては、呼吸音がガーガーと大きい、いびきをかくなどがあります。
愛犬の呼吸がなんだか苦しそうというような症状がある場合は、一度動物病院で診てもらいましょう。
④てんかん
てんかんは、けいれんを伴う発作を起こす病気です。
発作の現れ方は、月1回程度の場合もあれば、毎日という場合もあり、個体差が大きくなります。
基本的にてんかんは治らないと言われていますが、薬を使用することで発作をコントロールすることができます。
⑤脳炎(のうえん)
ジステンバーなどのウィルスや細菌などが原因で脳に炎症が起きる病気です。
症状としては、歩くときにふらつく、異常行動が多くなるなどがあります。
脳炎は進行すると脳細胞が委縮し炎症が広がっていきます。ひどい場合は脳細胞が壊死(えし)していき、長い場合で数年、短くて数か月で命を落としてしまうことがあります。
MRI検査で診断されることが多いですが、診断された場合は覚悟が必要になります。
⑥脂漏性皮膚炎、脂漏症(しろうせいひふえん、しろうしょう)
皮膚を保護し、乾燥を防ぐ役割をしている皮脂ですが、過剰に分泌し、皮膚にたまってしまうと皮膚炎を引き起こすことがあります。
その中でも、生まれつき皮脂が過剰に分泌しやすいタイプを脂漏性皮膚炎といい、他の何らかの病気が原因となっているものを脂漏症といいます。
体がべたつく、かゆがっているなどの症状があったら、動物病院で診てもらい、抗脂漏シャンプーでの薬浴により治療します。
⑦膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝(ひざ)のお皿が外れてしまうのが膝蓋骨脱臼です。
ほとんどの原因は、滑りやすい床の上で滑って転んだり、高い場所から飛び降りたりすることで起こります。
症状は、後ろ足を上げて歩くなど不自然な歩き方になることがあります。
歩き方がおかしいなどの症状が見られたら、動物病院を受診しましょう。
⑧ワクチンアレルギー
定期の混合ワクチンなどでアレルギーが出てしまうのが、ワクチンアレルギーです。
重度のものになると、アナフィラキシーショックという命にかかわる場合もありますので注意が必要です。
チワワは、このワクチンアレルギーを起こしやすいと言われています。
ワクチン接種後一日は、愛犬の様子を見るようにして、体をかゆがる、目や口の周りが腫れてきた、むくんできた、元気がないなどの症状が出たら、早くに動物病院を受診しましょう。
⑨膿皮症(のうひしょう)
膿皮症は、皮膚のバリア機能が低下し、皮膚の中で細菌が増えてしまうことで起こる、皮膚の炎症です。
膿皮症は抵抗力の低い、子犬や4歳未満の成犬、シニア犬や病気がちで免疫力が落ちている犬によくみられる病気です。
症状は、丘や黄色のぶつぶつができる丘疹(きゅうしん)や、赤または黒の円形脱毛が起こります。
アトピー性皮膚炎やストレス性皮膚炎との違いは、かゆみがほとんどないことです。
普段から愛犬の体をよく見てあげることが早期の発見につながり、体を清潔に保つことが一番の予防になります。
⑩撓尺骨(とうしゃくこつ)の骨折
チワワに多いのが、前足首のやや上にある橈骨と尺骨の骨折です。
チワワの骨はただでさえ細く、少しの衝撃でも骨折することがあるのですが、この橈骨、尺骨はつまようじ程度の太さしかありません。
しかしこの骨は、散歩など運動を多くすることで、ねばりのある折れにくい骨になることも可能です。
できる限り散歩などで運動を長くさせてあげるようにしましょう。
⑪レッグカルベペルテス
別名、大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)とも呼ばれるレッドカルベペルテス。
何らかの原因で、大腿骨頭の血行が悪くなり、大腿骨が壊死を起こし変形するため、足を動かすと強い痛みが出る病気です。
症状は、立っているだけの時も足を上げている、歩き方がおかしい、腰から足にかけて触れられることを極端に嫌がるといった様子を見せるようになります。
できる限り足に負担がかからないようにして生活すると数年で元の組織に戻ることもありますが、重度の場合は手術をします。
⑫指間性皮膚炎(しかんせいひふえん)
指と指の間や、肉球の間に炎症が起こる病気です。
症状は指や肉球の間をずっとなめていることが多くなります。
原因は、散歩で汚れたり、異物が挟まったり刺さったりすることです。
予防策としては、散歩のあとは足の指や肉球の間を良く洗ってあげましょう。
また、指の間や肉球を良く舐めていて、その箇所が赤くなっていたら、すぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。
⑬膀胱炎(ぼうこうえん)
膀胱に炎症を起こすのが膀胱炎です。
原因は、尿道から細菌が入ったり、結石や腫瘍などの場合もあります。
症状は、おしっこの回数が増えたり、においが強くなったり、おしっこの色が濃くなったりといったものがあります。
このような症状がある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
⑭膀胱結石(ぼうこうけっせき)
膀胱に結石ができてしまうのが膀胱結石です。
原因は、シュウ酸カルシウムや尿酸などが固まって結石になってしまうことです。
症状としては、おしっこの量が減ったり、そもそもおしっこが出ない、おしっこのにおいが強くなるなどがあります。
結石はそのままにしておくと、尿道閉塞などの命にかかわる病気に発展し、重症になると手術も必要になることもあります。
飼い主さんが早く気づいて動物病院を受診させてあげることが大切です。
⑮門脈体循環(もんみゃくたいじゅんかん)シャント
門脈という欠陥に異常があり、さまざまな症状を起こす病気です。
門脈は、体中から送られてくる血液を肝臓へ送る役割をしています。
送られてきた血液は肝臓で解毒され、きれいな血液が心臓を送られますが、門脈に異常があると、血液が肝臓で解毒されず、直接心臓へ送られてしまうことになります。
これにより、食欲不振や吐き気、下痢、体の発育不良、けいれんなどの症状が起こります。
重度の場合、命にかかわることもありますので、多くの場合は成長期の間に手術による治療を行います。
⑯水頭症(すいとうしょう)
脳せき髄液の代謝異常により、脳が圧迫され様々な症状を引き起こす病気です。
症状としては、ふらふら歩く、目の焦点(しょうてん)が合わない、体がいつも震えているなどが見られます。
少しでも、様子がおかしいと感じたら早く動物病院を受診することが大切です。
⑰還椎軸椎亜脱臼(かんついじくついあだっきゅう)
首の環椎{第一頸椎(けいつい)}と軸椎(第二頸椎)の関節の構造がゆるくなり、脊髄神経(せきずいしんけい)を圧迫することによって、首に痛みが生じる病気です。
症状は、抱き上げた時に痛くてキャンっと泣いたり、歩き方が不自然などといったものがあります。
原因は、先天性のものと外傷性のものがありますが、多くは1歳までに発症する先天性のものです。
重度になると全身マヒになってしまうため、手術が必要になってきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
病気にはそれぞれ症状があります。
そして、飼い主さんが、普段の生活の中でどれだけ愛犬の体調をチェックできているかが、病気の症状に気づくカギとなります。
愛犬の体を守るためにも、愛犬とのコミュニケーションをたくさんとっておきましょうね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。